障害者控除・医療費控除はいくら?障がい児家庭の税控除活用ガイド
障がいのある子どもを育てる家庭が使える障害者控除27万円・特別障害者控除40万円・医療費控除などの税制優遇を解説。年末調整・確定申告の手順、静岡市の相談窓口、年間約5万円の節税シミュレーションも紹介します。
最終更新:2026年06月10日

障がいのあるお子さまを育てるご家庭には、障害者控除(所得税27万円)・特別障害者控除(40万円)・医療費控除など、所得税・住民税の負担を軽減する複数の税制優遇措置があります。「確定申告が難しそう」と敬遠している方も多いですが、年間で数万円〜十数万円の節税になるケースもあります。活用しない手はありません。
この記事の結論(30秒でわかる)
- 障害者控除は27万円・特別障害者控除は40万円:障害者手帳や療育手帳をお持ちのお子さまを扶養している場合、所得税で27万円(程度が重い場合40万円・同居特別障害者は75万円)の控除が受けられ、住民税でも同様の控除があります。
- 放デイの利用料は医療費控除の対象外:医療費控除は年間の医療費が10万円(または総所得の5%)を超えた場合に使えますが、放課後等デイサービスの利用料は福祉サービスのため原則対象外です。通院費・処方薬・補装具などは対象になります。
- 障害者控除は年末調整でも申告できる:勤務先の扶養控除等申告書の「障害者」欄に記入すれば、確定申告なしで控除を受けられることが多いです。申告を忘れていても、過去5年以内なら更正の請求でさかのぼって申告できます。
障害者控除・特別障害者控除とは?いくら控除される?
障がいのある扶養家族がいる場合に、所得税で27万円(特別障害者は40万円・同居特別障害者は75万円)が所得から差し引かれる控除です。控除の種類と適用条件は次のとおりです。
控除の種類 | 控除額(所得税) | 適用条件 |
|---|---|---|
障害者控除 | 27万円 | 障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の3〜4級相当など |
特別障害者控除 | 40万円 | 障害の程度が重い場合(療育手帳A・身体障害者手帳1〜2級など) |
同居特別障害者控除 | 75万円 | 特別障害者かつ同居している場合 |
住民税でも同様の控除があります(控除額は異なります)。
年末調整での申告手順
給与所得者の場合、障害者控除は勤務先の年末調整で申告でき、確定申告なしで控除を受けられることが多いです。
- 勤務先から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」をもらう:毎年10〜11月頃に配布されます
- 「障害者」欄に記入する:障害者手帳・療育手帳の種別と等級を記入します。「特別障害者」に該当する場合はそちらの欄に記入します
- 書類を勤務先の経理部門に提出する:障害者手帳のコピーの添付が必要な場合があります
- 年末調整で控除が反映される:12月の給与または翌年1月の源泉徴収票で控除額を確認できます
新たに療育手帳・障害者手帳を取得した年は、必ずその年の年末調整で申告しましょう。過去5年以内であれば更正の請求による遡及申告も可能です。
住民税にはどう反映される?
住民税(市民税・県民税)の障害者控除は、年末調整・確定申告の情報が自治体に連携される仕組みになっています。
手続き | 所得税への反映 | 住民税への反映 |
|---|---|---|
年末調整での障害者控除申告 | 反映される | 給与支払報告書を通じて自動反映(通常) |
確定申告での障害者控除申告 | 反映される | 確定申告書の情報が住民税にも反映される |
医療費控除(確定申告) | 反映される | 確定申告により住民税にも反映される |
住民税の通知書が届いたら控除が反映されているか確認しましょう。不明な点は静岡市税務課(054-221-1033)にお問い合わせください。
医療費控除の対象になる費用は?放デイの利用料は含まれる?
医療費控除は、1年間に支払った医療費の合計が10万円(または総所得の5%)を超えた場合に適用される控除で、通院費・処方薬・補装具などが対象です。一方、放課後等デイサービスの利用料は原則として対象外です。障がいのあるお子さまを育てるご家庭では、以下の費用が対象になることがあります。
- 病院・診療所での診察・治療費
- 処方された薬の費用
- 補装具(車椅子・装具など)の費用
- 医師の指示による訓練・療育費用
- 通院のための交通費(公共交通機関)
保護者さまから「放デイの利用料も医療費控除に入れられますか?」という質問をよくいただきますが、放デイは「医療行為」ではなく「福祉サービス」に分類されるため、原則対象外です。ただし、医師の指示による医療型児童発達支援を利用している場合や、通院のための公共交通機関費用は対象になる場合があります。詳細は税務署または税理士にご確認ください。
領収書・記録の保存が重要
医療費控除のために、1年間の医療費・療育費の領収書を保管しておくことが大切です。以下のものが対象になる可能性があります(条件あり)。
- 病院・クリニックへの通院費用(領収書)
- 処方薬の費用(薬局の領収書)
- 補装具の購入費用
- 通院のための公共交通機関費用(ICカードの利用明細が記録として使えます)
領収書は必ず1年分まとめて保管しておきましょう。確定申告時に提出が必要なケースがあります。
セルフメディケーション税制もチェック
一定の健康増進活動(定期健康診断など)を行っている場合、市販薬(特定成分)の購入費用が年間12,000円を超えた分に適用される控除(スイッチOTC薬控除)もあります。
確定申告はどうやる?年末調整との違いは?
会社員の方でも、医療費控除など年末調整では処理できない控除を受けるには確定申告が必要です。手順は次の3ステップです。
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスする
- 必要事項を入力(障害者手帳の種別・医療費の領収書)
- 印刷・提出または電子申告(e-Tax)
年末調整と確定申告の使い分けは以下のとおりです。
- 年末調整でできること:基本的な障害者控除(給与所得者の場合、勤務先に申告書を提出することで処理可能)
- 確定申告が必要なこと:医療費控除(年10万円超の医療費)、複数の控除を組み合わせる場合、前年に確定申告をしていない場合
「自分に確定申告が必要かどうかわからない」という方は、税務署や税理士への相談、または国税庁の無料相談窓口を活用してください。毎年2月〜3月中旬が確定申告期間(e-Taxなら1月から可能)です。
実際どのくらい節税になる?(シミュレーション例)
障害者控除27万円・所得税率10%のケースで、所得税と住民税を合わせて年間約53,000円の節税が目安になります。以下はシミュレーション例です(参考値。実際の節税額は所得・家族構成等によって異なります)。
条件 | 概算節税額(所得税+住民税の目安) |
|---|---|
療育手帳B(障害者控除27万円)・所得税率10%の場合 | 所得税:約27,000円 / 住民税:約26,000円 = 合計約53,000円/年 |
療育手帳A(特別障害者控除40万円)・所得税率10%の場合 | 所得税:約40,000円 / 住民税:約30,000円 = 合計約70,000円/年 |
同居特別障害者控除(75万円)・所得税率10%の場合 | 所得税:約75,000円 / 住民税:約53,000円 = 合計約128,000円/年 |
数万円から十数万円の節税は、療育費・習いごと費用の足しに十分なります。静岡税務署(054-254-2000)の無料相談窓口や、毎年2〜3月の確定申告期間に開設される税務相談コーナーの活用もおすすめです。
特別児童扶養手当・障害児福祉手当も受け取れる?
受け取れる可能性があります。税制優遇とは別に、障がいのあるお子さまを育てる家庭には「手当」の制度もあります。
手当の名称 | 対象 | 支給額(月額目安) | 申請先 |
|---|---|---|---|
特別児童扶養手当 | 20歳未満の障がい児を養育する父母等 | 1級:約53,700円 / 2級:約35,760円 | 各区障害者支援課 |
障害児福祉手当 | 20歳未満の重度障がい児本人 | 約15,220円 | 各区障害者支援課 |
※金額は2026年度時点の概算です。所得制限があるため、ご自身の世帯が該当するかは窓口でご確認ください。
静岡市で税や手当について相談できる窓口は?
静岡市では、手当は各区の障害者支援課、税金は静岡税務署・静岡市税務課が相談窓口です。
- 静岡市各区障害者支援課:手当の申請・相談(葵区:054-221-1589)
- 静岡税務署(054-254-2000):確定申告・税の相談
- 静岡市税務課(054-221-1033):住民税の障害者控除について
よくある質問
Q. 放課後等デイサービスの利用料は医療費控除の対象になりますか?
A. 原則として対象外です。放デイは医療行為ではなく福祉サービスに分類されるためです。ただし、医師の指示による医療型児童発達支援や、通院のための公共交通機関費用は対象になる場合があります。
Q. 障害者控除は確定申告をしないと受けられませんか?
A. いいえ、給与所得者であれば勤務先の年末調整で申告できます。扶養控除等申告書の「障害者」欄に手帳の種別・等級を記入して提出すれば、確定申告なしで控除が反映されることが多いです。
Q. 申告を忘れていた場合、さかのぼって控除を受けられますか?
A. 受けられます。過去5年以内であれば、更正の請求による遡及申告が可能です。療育手帳・障害者手帳を取得した年にさかのぼって整理してみましょう。
Q. 確定申告の期間はいつですか?
A. 毎年2月〜3月中旬です(e-Taxなら1月から申告可能)。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば自宅から手続きでき、不明点は税務署の無料相談窓口で確認できます。
まとめ:年に一度の申告で、使える控除と手当を取りこぼさない
障がい児を育てる家庭には、障害者控除・特別障害者控除・医療費控除・特別児童扶養手当など、複数の経済的支援制度があります。「難しそう」と敬遠せず、年に一度の確定申告シーズンに整理してみることをおすすめします。制度活用に関するご相談は、各区の障害者支援課や静岡税務署でも受け付けています。iHome(静岡市葵区古庄)でも把握している範囲で情報提供していく方針ですので、お気軽にお問い合わせください。
出典:国税庁(障害者控除・医療費控除・確定申告)/こども家庭庁「障害児支援施策」
iHome 児童発達支援管理責任者(支援経験9年)
放課後等デイサービスの現場で9年間、お子さまの支援に携わってきました。この記事は、現場での実体験と最新の制度情報に基づいて内容を監修しています。



