障がい児を育てる家庭が使える税控除・医療費控除の活用ガイド
障がいのある子どもを育てる家庭が活用できる税控除(障害者控除・特別障害者控除)・医療費控除・確定申告の方法をわかりやすく解説します。
最終更新:2026年04月12日

障がいのある子どもを育てる家庭には、所得税・住民税の負担を軽減するための複数の税制優遇措置があります。「確定申告が難しそう」と敬遠している方も多いですが、年間で数万円〜十数万円の節税になるケースもあります。活用しない手はありません。
障害者控除・特別障害者控除
所得税の計算において、障がいのある扶養家族がいる場合に適用される控除です。
控除の種類 | 控除額(所得税) | 適用条件 |
|---|---|---|
障害者控除 | 27万円 | 障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳の3〜4級相当など |
特別障害者控除 | 40万円 | 障害の程度が重い場合(療育手帳A・身体障害者手帳1〜2級など) |
同居特別障害者控除 | 75万円 | 特別障害者かつ同居している場合 |
住民税でも同様の控除があります(控除額は異なります)。
医療費控除
1年間に支払った医療費の合計が10万円(または総所得の5%)を超えた場合に適用される控除です。障がいのあるお子さまを育てるご家庭では、以下の費用が医療費控除の対象になることがあります。
- 病院・診療所での診察・治療費
- 処方された薬の費用
- 補装具(車椅子・装具など)の費用
- 医師の指示による訓練・療育費用
- 通院のための交通費(公共交通機関)
注意点として、放課後等デイサービスの利用料は原則として医療費控除の対象外です(医療行為ではないため)。ただし、医療型児童発達支援や医師の指示による特定のサービスは対象になる場合があります。
セルフメディケーション税制(スイッチOTC薬控除)
一定の健康増進活動(定期健康診断など)を行っている場合、市販薬(特定成分)の購入費用が年間12,000円を超えた分に適用される控除もあります。
確定申告の方法
会社員の方でも、医療費控除や障害者控除を受けるには確定申告が必要な場合があります(年末調整では対応できない控除があるため)。
- 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスする
- 必要事項を入力(障害者手帳の種別・医療費の領収書)
- 印刷・提出または電子申告(e-Tax)
「確定申告の書き方がわからない」という方は、税務署や税理士への相談、または国税庁の無料相談窓口を活用してください。毎年2〜3月が確定申告の期間です。
特別児童扶養手当と障害児福祉手当
税制優遇とは別に、障がいのある子どもを育てる家庭には「手当」の制度もあります。
手当の名称 | 対象 | 支給額(月額目安) | 申請先 |
|---|---|---|---|
特別児童扶養手当 | 20歳未満の障がい児を養育する父母等 | 1級:約53,700円 / 2級:約35,760円 | 各区障害者支援課 |
障害児福祉手当 | 20歳未満の重度障がい児本人 | 約15,220円 | 各区障害者支援課 |
※金額は2026年度時点の概算です。所得制限があるため、ご自身の世帯が該当するかは窓口でご確認ください。
静岡市での税・手当に関する相談窓口
- 静岡市各区障害者支援課:手当の申請・相談(葵区:054-221-1589)
- 静岡税務署(054-254-2000):確定申告・税の相談
- 静岡市税務課(054-221-1033):住民税の障害者控除について
年末調整と確定申告の違い
会社員の方は毎年「年末調整」が行われますが、医療費控除や障害者控除の一部は年末調整では処理できず、確定申告が必要な場合があります。
- 年末調整でできること:基本的な障害者控除(給与所得者の場合、勤務先に申告書を提出することで処理可能)
- 確定申告が必要なこと:医療費控除(年10万円超の医療費)、複数の控除を組み合わせる場合、前年に確定申告をしていない場合
「自分に確定申告が必要かどうかわからない」という方は、税務署または税理士への相談をおすすめします。毎年2月〜3月中旬が確定申告期間(e-Taxなら1月から可能)です。
療育費・放デイ費用の記録保存の重要性
医療費控除のために、1年間の医療費・療育費の領収書を保管しておくことが大切です。以下のものが対象になる可能性があります(条件あり)。
- 病院・クリニックへの通院費用(領収書)
- 処方薬の費用(薬局の領収書)
- 補装具の購入費用
- 通院のための公共交通機関費用(ICカードの利用明細が記録として使えます)
領収書は必ず1年分まとめて保管しておきましょう。確定申告時に提出が必要なケースがあります。
まとめ
障がい児を育てる家庭には、障害者控除・特別障害者控除・医療費控除・特別児童扶養手当など、複数の経済的支援制度があります。「難しそう」と敬遠せず、年に一度の確定申告シーズンに整理してみることをおすすめします。制度活用に関するご相談は、各区の障害者支援課や静岡税務署でも受け付けています。iHomeでも把握している範囲で情報提供していく予定ですので、お気軽にご相談ください。
よくある誤解:「放デイの費用は医療費控除に含まれる」
保護者さまから「放課後等デイサービスの利用料も医療費控除に入れられますか?」という質問をよくいただきます。原則として、放課後等デイサービスの利用料は医療費控除の対象外です。これは放デイが「医療行為」ではなく「福祉サービス」に分類されるためです。ただし、医師の指示による医療型児童発達支援を利用している場合や、通院のための公共交通機関費用は対象になる場合があります。詳細は税務署または税理士にご確認ください。
障害者控除の申告:年末調整での具体的な手順
勤め先の年末調整で障害者控除を申告する具体的な手順を解説します。これを知っておくだけで確定申告なしに控除を受けられることが多いです。
- 勤務先から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」をもらう:毎年10〜11月頃に配布されます
- 「障害者」欄に記入する:障害者手帳・療育手帳の種別と等級を記入します。「特別障害者」に該当する場合はそちらの欄に記入します
- 書類を勤務先の経理部門に提出する:障害者手帳のコピーの添付が必要な場合があります
- 年末調整で控除が反映される:12月の給与または翌年1月の源泉徴収票で控除額を確認できます
新たに療育手帳・障害者手帳を取得した年は、必ずその年の年末調整で申告しましょう。過去5年以内であれば更正の請求による遡及申告も可能です。
静岡市在住家庭が活用できる住民税軽減の仕組み
所得税だけでなく、住民税(市民税・県民税)でも障害者控除が適用されます。住民税の控除は年末調整・確定申告の情報が自治体に連携される仕組みになっています。
手続き | 所得税への反映 | 住民税への反映 |
|---|---|---|
年末調整での障害者控除申告 | 反映される | 給与支払報告書を通じて自動反映(通常) |
確定申告での障害者控除申告 | 反映される | 確定申告書の情報が住民税にも反映される |
医療費控除(確定申告) | 反映される | 確定申告により住民税にも反映される |
住民税の通知書が届いたら控除が反映されているか確認しましょう。不明な点は静岡市税務課(054-221-1033)にお問い合わせください。
節税シミュレーション:具体的な効果のイメージ
具体的に「どのくらい節税になるか」を理解すると、申告する動機が高まります。以下はシミュレーション例です(参考値。実際の節税額は所得・家族構成等によって異なります)。
条件 | 概算節税額(所得税+住民税の目安) |
|---|---|
療育手帳B(障害者控除27万円)・所得税率10%の場合 | 所得税:約27,000円 / 住民税:約26,000円 = 合計約53,000円/年 |
療育手帳A(特別障害者控除40万円)・所得税率10%の場合 | 所得税:約40,000円 / 住民税:約30,000円 = 合計約70,000円/年 |
同居特別障害者控除(75万円)・所得税率10%の場合 | 所得税:約75,000円 / 住民税:約53,000円 = 合計約128,000円/年 |
数万円から十数万円の節税は、療育費・習いごと費用の足しに十分なります。静岡税務署(054-254-2000)の無料相談窓口や、毎年2〜3月の確定申告期間に開設される税務相談コーナーの活用もおすすめです。
iHome 児童発達支援管理責任者(支援経験9年)
放課後等デイサービスの現場で9年間、お子さまの支援に携わってきました。この記事は、現場での実体験と最新の制度情報に基づいて内容を監修しています。



