二次障がいを防ぐために知っておきたいこと|否定されない環境の大切さ
発達障がいのある子どもに起こりやすい「二次障がい」とは何か。うつ・不登校・問題行動などの二次障がいを防ぐために、家庭・学校・放課後等デイが連携して取り組めることを解説します。
最終更新:2026年04月12日

二次障がいとは、発達障がいそのものではなく、周囲の無理解・否定・過度な要求にさらされた結果として生じる精神的・行動的な問題のことです。適切な早期支援と、「否定されない環境」の構築が二次障がい予防の最大の鍵となります。
二次障がいとは何か
発達障がいを持つお子さまは、特性への無理解から長期間にわたってストレスにさらされることがあります。その結果として生じる二次的な問題を「二次障がい」と呼びます。
具体的には以下のような状態が二次障がいとして現れます。
- うつ状態・気分障がい:自己否定感の蓄積による意欲低下・悲しみ
- 不登校・引きこもり:学校での否定的体験の回避
- 反抗・攻撃的行動:抑圧された怒りや不満の爆発
- 不安障がい・パニック障がい:慢性的なストレスによる過覚醒
- 自傷行為:自己否定感の極端な表れ
二次障がいが起きやすい環境
9年間の現場経験から、二次障がいにつながりやすいリスク要因が見えてきました。
- 「なんでできないの?」と頻繁に叱責される
- 努力しているのに結果が評価されず、結果だけで判断される
- 特性への配慮なしに「みんなと同じ」を求められ続ける
- 「障がいのことは内緒に」と自己隠蔽を強いられる
- 適切な支援が受けられないまま時間が経過する
二次障がいを防ぐためにできること
1. 「できていること」に着目する
毎日10のうち8ができていても、2の「できていないこと」ばかり指摘されると自己否定感が積み上がります。「今日はここができていた」という小さな成功を言語化して伝えましょう。
2. 「怒る前に環境を変える」発想を持つ
お子さまの問題行動には必ず理由があります。「なぜそうしてしまうのか」を考え、環境を変えることで行動が自然と変わることがほとんどです。
3. 早期に専門的支援につながる
「少し様子を見よう」が長引くことが最大のリスクです。気になることがあれば早めに相談することで、二次障がいに進む前に対処できます。iHomeでは、開所後は診断前の段階からのご相談も歓迎していく方針です。
放課後等デイサービスの役割
放デイは、学校や家庭とは異なる「第三の安心の場」として機能します。「ここに来ると自分らしくいられる」という体験の積み重ねが、自己肯定感を育て、二次障がいの予防につながります。iHomeでは、開所後はすべてのお子さまが「自分はここにいていい」と感じられる場所を目指していく方針です。
二次障がいに気づくためのサイン
二次障がいが始まっているかもしれないサインを保護者さまに知っておいてほしい点をまとめます。
- 以前は好きだった活動・趣味に全く興味を示さなくなった
- 「どうせ自分はダメだ」「死にたい」などの言葉が出るようになった
- 睡眠が著しく乱れた(眠れない・起きられない)
- 身体症状(頭痛・腹痛・吐き気)が続いているのに医学的原因がない
- 学校・放デイを拒否するようになった
- 自分を傷つける行為(自傷)が見られる
これらのサインが見られたら、まず「何か困っていることはある?」と穏やかに声をかけ、専門家への相談を検討してください。
「自己肯定感」を高めるための5つの習慣
二次障がい予防のために最も重要なのが「自己肯定感」の育成です。日常の中でできる5つの習慣を紹介します。
- 「今日できたこと」を一つ以上言語化する:夕食の時間に「今日頑張ったことは何?」と聞く習慣をつける
- 比較をやめる:「○○ちゃんはできているのに」という言葉は使わない
- 「ありがとう」を伝える:些細なことでも感謝の言葉を伝える。「あなたがいてくれてよかった」という存在肯定が自己肯定感の土台になる
- 失敗を責めない:「なんで失敗したの」ではなく「次はどうしてみる?」という問いかけに変える
- 「好き」を大切にする:好きなこと・得意なことに没頭できる時間を意識的に確保する
静岡市内での二次障がいに関する相談窓口
- 静岡市発達障害者支援センター「きらり」(054-285-1124):発達障がいと二次障がいの専門相談
- 静岡こころの健康センター(054-286-9245):精神的な問題の相談窓口
- 静岡市こども家庭センター(054-272-9225):子育て・発達全般の相談
iHomeでも「最近子どもの様子が変だ」「二次障がいが心配」という保護者さまのご相談を受け付けています。一人で悩まず、まずお話しください。
まとめ
二次障がいは「防げるもの」です。早期支援・否定されない環境・自己肯定感の育成——この三つを軸に、お子さまを取り巻く大人が連携することが最大の予防策です。iHomeではすべてのお子さまが安心して「自分らしくいられる場所」を提供することを、支援の根本に置いています。
家庭と放デイが連携して取り組む二次障がい予防
二次障がいの予防は、一つの機関だけでは達成できません。家庭・学校・放課後等デイサービスが連携し、一貫した関わりを持つことが重要です。9年間の現場で見てきた「連携がうまくいっているご家庭」の共通点をお伝えします。
場面 | 家庭でできること | 放デイでできること |
|---|---|---|
日常の声かけ | 肯定的な言葉を意識する・「今日できたこと」を聞く | 小さな成功を記録し保護者に伝える |
感情の扱い方 | 子どもの気持ちに名前をつける練習をする | SSTで感情表現を練習する |
失敗体験への対処 | 「失敗は成長のチャンス」という姿勢を見せる | 失敗を責めず、次の行動を一緒に考える |
疲れへの気づき | 帰宅後の様子の変化を放デイに共有する | 疲れサインを記録し保護者に報告する |
「学校での否定体験」を軽減するための働きかけ
二次障がいの引き金になりやすいのが「学校での否定体験」です。「また失敗した」「みんなと違う」という体験が積み重なると、自己肯定感が著しく低下します。学校との連携で以下のことを働きかけることをおすすめします。
- 合理的配慮の申請:座席位置の調整・課題量の調整・タイムアウト場所の確保など、お子さまに必要な配慮を担任に伝える。静岡市では各学校の「特別支援教育コーディネーター」に相談するのが第一歩です
- 「個別の教育支援計画」の活用:学校が作成する個別の教育支援計画に、放デイでの目標・支援方法を記載してもらうことで一貫性が生まれます
- 通信表・連絡帳を活用した小さな成功の共有:「○○ができるようになりました」という言葉が先生から届くと、お子さまの自己肯定感が大きく育ちます。放デイからも同様の情報提供を積極的に行います
「学校の先生に相談するのが怖い」という保護者さまも少なくありません。iHomeでは、開所後は必要に応じて保護者さまと一緒に学校への働きかけをサポートしていく方針です。一人で抱え込まず、ご相談ください。
よくある誤解:「二次障がいは本人の性格の問題」
支援の現場でよく耳にする誤解をいくつか解説します。正しい理解が適切な関わりにつながります。
- 誤解①「反抗・暴言は単なるわがまま」:これは二次障がいとしての反応である場合がほとんどです。「なぜそう行動するのか」という背景を理解することが先決です。背景には「誰も自分を理解してくれない」という深い悲しみがある場合が多いのです
- 誤解②「本人が努力すれば治る」:本人はすでに十分努力しています。「頑張れ」という言葉がかえってプレッシャーになることもあります。環境や関わり方を変えることの方が何倍も効果的です
- 誤解③「薬を飲めば解決する」:薬物療法は一つの選択肢ですが、二次障がいの根本には「環境」と「関係性」の問題があります。薬だけで解決しようとするのは限界があります
- 誤解④「診断がついてから対応すれば間に合う」:二次障がいの予防は診断の有無に関係なく、今この瞬間から始められます。「発達が気になる」段階から早期に関わることが予防の王道です
二次障がいを発症してしまったら:早期対応のステップ
「もしかしたらもう二次障がいが始まっているかも」と思ったときの対応について解説します。発症後でも、適切な支援と環境の変化で回復することは十分に可能です。大切なのは「一人で抱えない」ことです。
- まず安全を確保する:自傷・他害・自殺念慮がある場合は、すぐに専門家(児童精神科・かかりつけ医)に相談してください。静岡こころの健康センター(054-286-9245)でも相談を受け付けています
- ストレス源を一時的に減らす:学校・習いごと・人間関係のストレスを一時的に減らすことを検討します。「休む」ことは「逃げ」ではなく「回復のための投資」です
- 安心できる大人との関係を維持する:家庭・放デイなど、「ここにいればいい」と感じられる場所と関係性を大切にします。叱らない・批判しない・ただそこにいるだけでも十分なときがあります
- 専門機関につながる:状態に応じて、静岡市発達障害者支援センター「きらり」・小児精神科・スクールカウンセラーなどの専門家に相談します
- 保護者さま自身も支援を受ける:お子さまの状態に悩む保護者さまも、ペアレントトレーニングや保護者会などのサポートを活用してください。保護者さまが余裕を持てることが、最終的にお子さまにとっての安心にもつながります
iHome 児童発達支援管理責任者(支援経験9年)
放課後等デイサービスの現場で9年間、お子さまの支援に携わってきました。この記事は、現場での実体験と最新の制度情報に基づいて内容を監修しています。



