放課後等デイサービスで行うSST(ソーシャルスキルトレーニング)とは
SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは何か、放課後等デイサービスでどのように実施されるか、どんな効果があるかを解説。子どもの社会性を育てる支援のポイントを紹介します。
最終更新:2026年04月13日

SST(ソーシャルスキルトレーニング)とは、社会生活を送るために必要なコミュニケーション・対人スキルを、ゲームや練習を通じて楽しく身につけるプログラムです。放課後等デイサービスにおけるSSTは、学校での集団生活をよりスムーズにするための重要な支援です。
SSTとは?基本的な考え方
ソーシャルスキルとは「社会生活を送る上で必要な対人関係・コミュニケーションの技術」のことです。これは先天的に決まっているのではなく、適切な経験と練習によって身につけることができます。
SSTでは「知識として教える→練習する→実際に使う→フィードバックをもらう」というサイクルを繰り返します。ロールプレイやゲームを通じて楽しく学べるよう工夫されています。
放デイで扱われる主なSSTのテーマ
- あいさつ・返事:場面に合ったあいさつ、名前を呼ばれたら返事する
- 順番を守る:ゲームや活動の中で待つ練習
- 感情の表現:うれしい・悲しい・怒りの適切な表し方
- 断り方・頼み方:NOを言う練習、助けを求める練習
- トラブル解決:友達とモメた時の対処法
- 気持ちの読み取り:相手の表情・声色から気持ちを推測する
- 場面に合った行動:授業中・休み時間・給食時などの使い分け
iHomeでのSST実践例
iHomeでは、開所後は週1回のグループSSTを実施していく方針です。3〜6名の少人数で行い、毎回テーマを決めてロールプレイやカードゲームを活用しています。
「気持ちカード」を使ったプログラム
様々な表情のカードを使って「このキャラクターはどんな気持ちだと思う?」と話し合うことで、感情の読み取り能力を育てます。正解がないことを大切にし、様々な見方があることを学びます。
ゲームを使ったルール遵守・順番待ちの練習
ボードゲームやカードゲームはSSTの格好の教材です。ゲームのルールを守る、負けても次の人の番を待つ、相手に「いいね」と言える、という実践的な練習を自然な流れで行います。
SSTの効果と注意点
SSTは効果が出るまでに時間がかかります。週1回のSSTを3〜6ヶ月継続して、少しずつ変化が見えてくるのが一般的です。保護者さまも「今日はこういうスキルを練習しました」という連絡を受けたら、日常生活の中でそのスキルを使う機会を意識的に作ってあげてください。
SSTで学んだことを「日常の実生活」でも使えるように般化(ライフスキルへの定着)させることが最終ゴールです。
SSTの「般化」を促すために保護者ができること
放デイで学んだスキルが家庭・学校でも使えるようになる「般化」は、SSTの最終目標です。保護者さまが日常生活の中でできるサポートを紹介します。
- 放デイで練習したスキルを知る:連絡帳で「今日は順番を守る練習をしました」と伝えてもらったら、家でも同様の場面で練習する機会を意識的に作る
- 「できた!」をすぐに認める:日常の中でSSTのスキルを使えた瞬間を「○○できたね!えらい!」と即座に認める
- 自然な場面で練習する:スーパーでお釣りを自分で受け取る・図書館で「貸してください」と言う、など日常の中に練習の場を作る
年齢別SSTで重視するスキル
年齢目安 | 重視するSSTのテーマ |
|---|---|
小学校低学年(6〜9歳) | あいさつ・順番待ち・怒りの表現方法・ルールを守る |
小学校高学年(10〜12歳) | 友達との仲直り方法・断る技術・気持ちの読み取り・協力する |
中学生(13〜15歳) | 自己主張(アサーション)・トラブル解決・グループでの役割分担・相談する |
高校生(16〜18歳) | 職場でのコミュニケーション・ハラスメントの認識・自己開示・依頼・断り |
SST実施事業所を選ぶポイント
放デイを選ぶ際に「SSTに力を入れている事業所」を見分けるポイントを紹介します。
- 「SSTはどのように行っていますか?」と具体的に聞いてみる(ロールプレイ・ゲーム等の具体例が出てくれば良い)
- 少人数グループでのSSTが週何回実施されているか確認する
- SST後に保護者へのフィードバックがあるか確認する(家庭での般化を促すため)
- 「専門的支援加算」(作業療法士等の専門職が参加)の有無を確認する
iHomeでは、開所後はSSTを支援の柱の一つとして位置づけ、毎週グループSSTを実施していく方針です。お子さまのコミュニケーションに不安を感じている方は、ぜひ見学にいらしてください。
まとめ
SSTは「楽しく学ぶ」ことと「実生活で使う」ことの両立が大切です。放デイでの練習と家庭での日常的なサポートが重なることで、お子さまの社会性が育まれやすくなります。iHomeでは週1回のグループSSTを通じて、お子さまの「社会を生きる力」を育てています。
SSTでよく使うゲーム・教材の紹介
iHomeで実際に使っているSST用の教材・ゲームをご紹介します。家庭でも取り組めるものもあります。
- 感情カルタ・感情スゴロク:感情の名前と表情を一致させる練習。「怒り」「喜び」「悲しみ」「驚き」など様々な感情を楽しく学べます。市販品でも入手可能です。
- ロールプレイカード:「こんな場面でどう言う?」を書いたカードを引いてロールプレイする教材。「友達のブロックを壊してしまった。どう言う?」など具体的な場面設定が学習効果を高めます。
- 順番待ちゲーム(ウノ・将棋・オセロ等):ターン制のゲームを通じて「待つ・相手の番を尊重する・負けを受け入れる」を自然に練習できます。
- 「いいとこ見つけ」活動:グループ活動の後に、友達の良かった点を一人ずつ発表する活動。肯定的な言葉かけのスキルと自己肯定感を同時に育てます。
- クールダウンコーナー・感情温度計:「今の自分の感情が何度か」を温度計の絵で示すツール。感情の自己認識スキルを育て、クールダウンのタイミングを自分で判断する練習に使います。
SSTが効果的に機能するための環境条件
SSTの効果を最大化するには、プログラムの質だけでなく「環境」も重要です。
- 少人数グループ(3〜6名程度):大人数では一人ひとりが練習する機会が減り、緊張感も高まります。iHomeでは、開所後は3〜6名の少人数グループでSSTを実施していく方針です。
- 安全・安心な関係性:失敗しても笑われない、間違えても大丈夫という環境がないとロールプレイで本気で取り組めません。
- 継続性:SSTは1回や2回では効果が出にくく、少なくとも3ヶ月以上の継続が必要です。
- 家庭・学校での「実践の場」:放デイで学んだスキルを日常で使える場があってこそ、真のスキルとして定着します。
「うちの子はSSTに向いているか」を判断するヒント
SSTが特に効果的と考えられるのは以下のようなお子さまです。
- 友達との関わり方がわからず、いつも一人で遊んでいる
- 感情のコントロールが難しく、怒ったり泣いたりが激しい
- 「順番を守れない」「割り込んでしまう」が多い
- 「自分の気持ちを言葉で表現できない」と感じている
- 冗談や比喩を字義通りに受け取ってしまい、誤解が生まれやすい
一つでも当てはまる場合、SSTは大きな助けになる可能性があります。iHomeでのSSTについて詳しく知りたい方は、見学時にお気軽にご質問ください。
iHome 児童発達支援管理責任者(支援経験9年)
放課後等デイサービスの現場で9年間、お子さまの支援に携わってきました。この記事は、現場での実体験と最新の制度情報に基づいて内容を監修しています。




